ポルシェのある生活

ポルシェ太郎の感想

ポルシェ太郎

「ポルシェ太郎」というタイトルの本が気になって読んでみました。作者は芥川賞作家の羽田圭介さん。

ポルシェ太郎のあらすじ

物語の鍵を大きく握る車が、ポルシェ。911カレラカブリオレを
あらすじとしては、東京で起業した地方出身の35歳の主人公の恋あり、仕事上の波乱万丈あり……とよくある設定ですが、ポルシェ911を買ったこと、体験に主軸を置いて書かれている点で、ポルシェファンにとっては読む価値がある本かもしれません。

多分、運転したことがある人が読むのと、運転したことがない人が読むのでは受ける印象が全然違う小説だというのが一番おもしろい点なのかなと。

名前は太郎。恵比寿在住、起業して1年、恵比寿駅から徒歩12分の25平米のマンションは家賃15.5万円、マンションから徒歩8分の雑居ビルにある機械式駐車場8万円。購入したのはポルシェセンター青山。911カブリオレPDK,走行距離4000キロ、総額1500万円で購入。本業ではそこまで稼いでいなくて、女衒のように女性を集めて「ギャラ飲み」を主催してお小遣い稼ぎをしている35歳。

 

見た目はおそらく……格好良くない。腹も出てきた。でも、まだまだ若いと思っている……美女たちの前でポルシェ自慢をしようと思っても「ビートルかわいいですね」と言われてしまったり。こんな感じの主人公です。

ポルシェオーナーに激怒されそうな記載も

実際の高級車オーナーからは反感を買いそうでもあり、分かるともいえる記述とか。

 

「たいていの場合、禿や白髪の中高年男性が、一人で運転していた。言い換えるなら、格好いいスポーツカーには、禿や白髪の中高年男性しか乗っていなかった。はじめのうち、どうして禿や下がの中高年ドライバーたちに目がいってしまうのか、太郎にはわからなかった。ひょっとして、スポーツカーに憧れ始めているのかとも思ったが、少し違うような気もした。恵比寿に住み、服は伊勢丹や青山近辺の店でしか買わなくなり、ブレゲの時計も買った。次は車に手を出そうとしても、近所の駐車場を借りるには七万円くらいかかるし、酒を飲んで遊ぶにも、タクシーのほうが便利だし安くつく。やがて、どんなに格好いいスポーツカーも、禿や白髪の中高年にしか乗られていない、そのこと自体が気になっているのだと、太郎は気付いた。

スポーツカーなど都会で乗るには合理性もないし、そもそも車両価格が途轍もなく高いから、若者には買えやしない。しかし、見た目が美しいデザインのスポーツカーの乗り手には、肉体的に衰えた中高年よりも、頭髪や未来のある若者のほうが、似合っている。頭髪と金のあるうちに買ってあげないと、スポーツカーのほうだって、浮かばれないんじゃないだろうか」

これは、笑う人、イラッとする人、いろいろいそうですが、私はこの感覚は
こち亀の中川のイメージが強いのかなーって思っちゃいました。

スーパーカー=中川、ってイメージありません??

 


ツッコミ始めると”家から遠いならもっと駐車場は安いところいくらでもあるだろう”とか、そこはブレゲじゃなくてウブロだろうとか、ビミョーにツッコミ入れたくなるところが多いんですよ。でも、そこが面白いところなんでしょうね。

東京在住、地方出身の人なら、ポルシェで帰省したらこうなるなあってところとか、
ギャラ飲みに来るような美女たちのしたたかさとか、色々共感できるとことろも多いはず。

なんだかんだ、ポルシェ乗りの人には楽しめる一冊だと思いました。

ポルシェ太郎

 

 

 

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